頭痛や発熱の応急処置として解熱鎮痛薬を使おうと思っても、種類がたくさんあってどれを選べばよいかわからない方は多くいらっしゃいます。この記事では、解熱鎮痛薬のひとつであるアセトアミノフェンの特徴や代表的な薬を紹介します。
「アセトアミノフェン」とは
- アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬のひとつ
- 比較的効き目がゆるやかで、安全性が高い
- 軽度から中等度の痛みの緩和や、小児や高齢者など段階的に薬の効果をみたときに使われる
- 開発から時間が経っているため、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に比べると安価
- ただし、ひどい痛みや強い炎症を抑えることには向かない
アセトアミノフェンの働きは?
- 体の痛みを抑えたり、熱を下げたりすることができる
- ただし、対症療法薬のため、痛みや発熱の原因となっている病気そのものは治療できない
アセトアミノフェンが処方されやすい疾患・症状
- 風邪、インフルエンザを始めとする疾患による発熱
- 頭痛
- 耳の痛み
- 筋肉痛
- 関節痛
- 症候性神経痛
- 腰痛
- 捻挫痛
- 打撲痛
- 月経痛
- 分娩後痛
- 歯痛
- 歯科治療後の疼痛
- 変形性関節症
アセトアミノフェンを主成分とする主な薬
処方薬
- カロナール®︎錠
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- 中枢神経に働きかけて熱の放出を高めて熱を下げ、体の痛みを和らげる
- 大人だけでなく、子供の風邪、頭痛、歯痛、腰痛や変形性関節症といった病気の解熱・鎮痛にも処方される
- コカール®︎錠
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- 末梢神経を拡張させて発汗を促すことで熱を下げる
- 大人だけでなく、子供の発熱、変形性関節症や頭痛、神経痛、筋肉痛の緩和にも処方される
市販薬
- ノーシン®︎AC
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- 剤形が小粒で服用しやすく、素早く溶ける
- 悪寒や体の痛みを伴う発熱、頭や耳、のど、歯の痛み、神経痛、筋肉痛、外傷や抜歯・肩こりによる痛みなど、さまざまな部位の痛みに作用する
- 7歳以上から服用できる
- タイレノール®︎A
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- 中枢神経に作用し、体の痛みや発熱を和らげる薬
- 頭痛、月経痛、歯や抜歯後の痛み、喉・耳の痛み、神経痛、筋肉痛、関節痛、外傷による痛み、肩こり痛、風邪による体の痛み・悪寒や発熱を和らげる
アセトアミノフェンの服用に注意が必要な場合
- アスピリンに対する喘息やアレルギー症状がある場合
- もともと胃腸や腎臓、肝臓が弱く、これらの臓器に持病がある場合
- 普段から飲酒量が多く、肝臓が弱っている可能性がある場合
- アセトアミノフェンのほかに風邪薬や解熱鎮痛薬を服用している場合
- ワーファリンを服用している場合
- 栄養状態が悪い場合
アセトアミノフェンの副作用
比較的起こりやすい副作用
- 吐き気
- 嘔吐
- 食欲不振
- 下痢
- 腹痛
- 発疹
- じんましん
発症は非常にまれだが重篤な副作用
- アナフィラキシーショック
- 皮膚がめくれたり潰瘍ができるほどの重い皮膚や粘膜の疾患
- 喘息発作
- 肝機能障害
- 出血など血液の異常
- 肺炎
- 腎機能障害
まとめ:アセトアミノフェンは効き目が穏やかで、子供にも使える解熱鎮痛薬です
- 解熱鎮痛薬の中でも、アセトアミノフェンは比較的効き目が穏やかな薬
- 子供に処方されることが多い
- 中枢神経に働きかけて熱を放出し、痛みの感知機能を弱くすることで、解熱鎮痛効果を発揮する
- 処方薬、市販薬のどちらでも入手しやすく、副作用も起こりにくい
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
アセトアミノフェンは、中枢神経に働きかけて解熱鎮痛作用をもたらす薬です。詳しい作用機序は完全には解明されていませんが、体温のセットポイントを低くすることで発汗や血管拡張を促し、熱を下げる作用があると言われています。
鎮痛作用は同じ鎮痛薬であるNSAIDsより弱いものの、腎機能障害や胃潰瘍といった副作用がほとんどないため、安全に使用できます。そのため、小児や妊婦に処方しやすい鎮痛薬と言えます。
重篤な副作用としては肝障害があります。1日の投与上限は4000mgとなっています。通常の使い方であれば上限を超えることは少ないですが、過剰な内服をしている場合は必ず6時間程度あけて内服するようにしましょう。