炭水化物を抜くダイエットでは、お米やパンといった炭水化物を控えます。「短期間で効率よく痩せられる!」といった話を聞いたことがあるかもしれません。でも、リスクはないのでしょうか。この記事では、炭水化物を抜くダイエットについて、リスクの有無とともに、安全性の高い取り組み方を解説します。
炭水化物を抜いたら痩せる?
- 炭水化物の摂取を一切やめると、しばらくの間は順調に減量できる
- しかし、炭水化物(糖質)は体を維持する上で欠かせない栄養素なので、急激、かつ、極端に制限すると体に影響が出る恐れがある
極端な「炭水化物抜き」で起こる弊害は?
体に起こる弊害
- 脂肪とともに筋肉も落ちるため、基礎代謝量が減って太りやすくなる
- 筋力が落ちるため、体力、持久力が極端に落ちることもある
- 肝臓に貯蔵されるべき中性脂肪が不足して、低栄養性の脂肪肝を発症する恐れがある
- 極端な栄養不良により血液が酸性に傾き、場合によっては危険な状態になる可能性がある
- 便秘になりやすい
精神面に起こる弊害
- 脳を動かす糖が不足するため、集中力・判断力が低下する
- 常にイライラしている
人間にとって、炭水化物をほとんど摂取しない状態は「飢餓」や「栄養不足」と同じです。炭水化物を抜けば痩せやすくなりますが、上記のような弊害を考えるとデメリットのほうが大きいと言えます。
ダイエット中に摂ってもよい炭水化物の量は?
- 人間の体に必要な炭水化物の量は、1日の摂取カロリーの45%程度
- 45%がどのくらいの量になるかは、1日あたりのカロリー摂取量を出せば算出できる
- 朝と昼で炭水化物を多めに摂ると、日中の活動で糖質を消費しやすい
- 炭水化物を減らした分は、タンパク質をはじめとする他の栄養素で補う
- 夜はあまり活動しないため、炭水化物を控えめにしてタンパク質を多めに摂るとよい
「体に必要な炭水化物は摂る」「炭水化物を抜いたことで不足した栄養素は他の栄養素で補う」のがダイエット成功のコツです。
まとめ:炭水化物を完全に抜くのはデメリットが多い。必要量は必ず食べましょう
- 炭水化物は体を維持する上で欠かせない栄養素
- 炭水化物を抜くと痩せやすくなるが、心身にさまざまな弊害を引き起こす
- 朝と昼は炭水化物を多めに、夜は控えめにするのがポイント
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
世の中にはさまざまなダイエット法が存在します。それぞれのダイエット法について、効果があったとする論文も、死亡率が上がったとする論文もあり、コンセンサスは得られていないと考えてよいと思います。
糖質制限にもメリット、デメリットがあります。一般的に、あるダイエット法を実践されている方は、そのダイエット法の良い面だけを見る傾向があります。そのダイエット法のデメリットにも目を向けて、情報を客観的に検討し、バイアスなく判断することが大切です。